屋内消火栓設備には、消火栓の持つ「放水性能」・「警戒区域半径」及び「操作性」から、2つの規格の屋内消火栓が存在する。
この2つの規格に基づく屋内消火栓設備は「1号型消火栓」・「2号型消火栓」と分類され、それぞれ消防法の設置基準や性能・特徴が異なる点を覚えておく必要がある。
屋内消火栓1号型は、放水性能が高く、短時間に大量の放水が可能な消火栓設備で、水圧も高く、広範囲の消火活動が可能となっておる点がひとつの特徴じゃ。
しかし、現実的に一人で消火活動を行うにはホースも想像以上に重く、操作もやや複雑と感じるかもしれんのぉ。
対して2号型消火栓は1号型と比べると放水性能・消火能力はやや劣るものの、操作も簡易的で一人でも消火活動を実践し易い構造になっておる点がポイントじゃ。
屋内消火栓と屋外消火栓の違いの項でも解説したとおり屋内消火栓は消防隊員以外の一般人も消火栓設備を使用する可能性が高い。
そのため実際の火災発生時の実用性を考慮して、規格化された消火栓が2号消火栓ということになるのぉ。
尚、1号消火栓は原則2名以上で操作する消火栓設備じゃが、一人でも操作を容易に行うことが可能な2号消火栓の利便性に近く、かつ1号消火栓の消火能力を保持する「易操作性1号消火栓」と呼ばれる1号消火栓もあるのじゃよ。
消火活動の能力は高い能力を発揮するものの操作性の難易度がやや高い1号消火栓。
この問題を解決するために実際の火災現場で一般人や力の弱い女性でも簡単に操作を行うことができるよう実用性を重視して規格化された消火栓設備が2号消火栓設備じゃ。
しかし現在は前述したように1号消火栓の性能を持ちながら、かつ一人でも消火活動が可能である「易操作性1号(E-1号)消火栓」と呼ばれる消火栓設備も登場し少しずつではあるが多くの人が集う百貨店や商業施設などで普及が始まっておる。
実際に火災が発生した際に消防隊員が到着するまでの時間に一般人がより簡易的に消火活動が行えるような消火栓設備の開発は今後も開発されてくることじゃろう。
1号消火栓及び2号消火栓の性能及び構造規定・寸法・サイズを以下にまとめておくのでチェックしておくことじゃ。
尚、放水圧力を示すMPaは圧力・応力を示す国際単位でメガパスカルと読むのじゃよ。
【1号消火栓・2号消火栓の性能及び構造】 | ||
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性能・規定 | 1号消火栓 | 2号消火栓 |
放水量・性能 | 筒先(ノズル)で毎分130リットル/分以上 | 筒先(ノズル)で毎分60リットル/分以上 |
放水圧力(MPa) | 0.17MPa~0.7MPa | 0.25MPa~0.7MPa |
警戒区域半径の規定 | 半径25メートル単位 | 半径15メートル単位 |
口径 | 40ミリ | 25ミリ |
ノズルの口径 | 13ミリ | 13ミリ |
消火栓箱の寸法・サイズ | 縦1300ミリ以上・横750ミリ・奥行180ミリ | 縦825ミリ以上・横800ミリ・奥行200ミリ |
屋内消火栓の放水圧力は1号消火栓・2号消火栓ともに上限が0.7MPa以内になるように定められておる。
その為、消火栓箱内に設置されている開閉弁には呼び圧力が16Kを超える減圧弁が設けられておるのじゃ。