泡消火設備とは、消火設備の一種で泡ヘッドから泡消火薬剤を放出することで火災の拡大を防止する消火設備の事です。
水による消火では爆発を起こしたり火災の拡大を防止しきれないような油火災や可燃性のガソリンなどによる火災の拡大の防止、及び初期段階での消火を目的として泡消火設備が設置されます。
ここでは泡消火設備の構造や主な用途、種類別の特徴について解説します。
1.泡消火設備の主な用途・特徴
2.泡消火設備の構造(12分類別の解説)
3.泡消火設備の泡ヘッドの構造(放出口の種類・膨張比・発泡倍率)
4.低発泡泡ヘッドの構造と特徴
5.中発泡の泡ヘッドの構造と特徴
6.高発泡放出口の用途と特徴
泡消火設備とは、消火設備の一種で泡ヘッドから泡消火薬剤を放出することで火災の拡大を防止する消火設備の事じゃ。
泡消火設備の設置は消防法による分類の場合、B火災(油火災)に適した消火方法であり主な用途としては可燃性のガソリンによる火災が発生する危険性をもつ駐車場(主に地下駐車場等)で使用されておる。
ガソリンや調理場の加熱された油は通常の水による消火活動を行うと、「水と油」という言葉があるとおり反発しあい逆に油が拡散することで火災の拡大をもたらす危険性を持っておる。
その為、駐車場内に設置される屋内消火栓設備やスプリンクラー設備による消火方法では対応できないような油火災等の火災の発生の可能性が懸念される場所に泡消火設備が設置されることになる。
尚、泡消火設備は構造的にはヘッドからの散水を行うスプリンクラー設備と類似しておるが、配管の中間に後述する混合装置や水源と合わせて泡消火剤の貯蔵タンクなどの設備を別途設置する必要がありスプリンクラー設備とは対象となる火災の種類が異なる点がポイントじゃ。
泡消火設備の設置は複数の消火設備と連動させることで機能する総合型の固定式の設備が主流です。
また、後述する膨張比によって消火対象となる建築物や施設、設備等は異なります。
ここでは主な泡消火設備の構造と各部位の仕組み・働きについて一覧表で解説します。
【泡消火設備の主な構造】 | ||
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番号 | 装置名・名称 | 仕組み・働きの説明 |
① | 泡ヘッド・フォームヘッド | 泡消火剤の放出口 |
② | 配管 | 泡消火剤と貯蔵タンク・水源をつなぐ配管設備 |
③ | 貯蔵タンク | 泡消火剤の貯蔵タンク |
④ | 起動装置 | 手動式と自動火災報知設備に連動する自動式がある |
⑤ | 混合装置 | 泡消火剤の元となる溶液と水を混合する装置 |
⑥ | 加圧送水装置 | 加圧式の組み上げポンプ |
⑦ | 一斉開放弁 | 起動装置と連動して起動する |
⑧ | 流水検知装置 | 混合装置⑤と一斉開放弁⑦間の配管に設置される |
⑨ | 感知器 | 主に固定式、自動火災報知設備と連動する |
⑩ | 非常用電源 | 火災や地震などで電源供給が絶たれた際に稼動する電源装置 |
⑪ | 貯水槽 | 水の供給を行う・地下から組み上げる方式が一般的 |
⑫ | 自動火災報知設備 | 泡消火設備の起動と連動する装置(自動式) |
⑫の自動火災報知設備等の火災信号を受信するシステムは手動式の場合は設置されていないケースもあり、また遠隔操作用の信号機受信機が設置されているケースもあり設置されている状況によって異なりますので、泡消火設備の主な構造の目安となります。
泡消火設備に取り付けられる放出口には泡水溶液の体積の膨張比率によって膨張比率が20倍以下の低発泡放出口と80倍以下の中発泡放出口、そして80倍以上の高発泡放出口に分類されておる。
また高発泡放出口の膨張比は更に250倍以下、500倍以下、500倍以上の3種に分類される。
混合装置で生成された泡水溶液は泡ヘッド部分にある空気口から多くの空気を取り込み空気を含ませて膨張させた泡状態を作り出しながら放出口から泡消火剤を放出する訳じゃ。
※膨張比=発泡倍率とも呼ぶ
【泡消火設備の主な構造と種類一覧表】 | ||
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番号 | 放出口・泡ヘッドの種類 | 膨張比・発泡倍率 |
① | 低発泡放出口 | 20以下 |
② | 中発泡放出口 | 20以上~80以下 |
③ | 高発泡第1種 | 80以上~250以下 |
高発泡第2種 | 250以上~500以下 | |
高発泡第3種 | 500以上~1000以下 |
低発泡の泡ヘッドは、泡ヘッド部分の空気口から大量の空気を取り込み泡水溶液をヘッドから放出させる。
泡ヘッドが網目状、メッシュ形状となっているのは空気の取り込みを行う構造となっておる為じゃ。
駐車場や危険物の貯蔵庫、可燃性の液体貯蔵設備、飛行機の荷物置場やエンジンルームなどに使用されている泡ヘッドは低発泡の泡ヘッドが主流じゃ。
尚、低発泡放出口の多くは固定式泡消火設備じゃがノズルを操作して消火活動を行う移動式のタイプも製造されておるのじゃよ。
中発泡ヘッドは、低発泡と高発泡のちょうど中間の用途で使用される泡ヘッドじゃ。
可燃性の液体を扱う施設では移動式のノズル操作で放出を行うタイプと固定式の消火設備が利用されておる。
高発泡の泡ヘッドは主に大型の可燃性の液体を扱う施設や設備などに設置されておる。
危険性の高い大型の可燃性液体や危険物を取り扱う施設等で発生する火災に対し、複数の放出口から大量の泡を一気に放出し建築物や対象設備を泡で埋め尽くし酸素濃度を低下させることで火災の拡大を防止し泡水溶液に含まれる水で同時に冷却作用をもたらす仕組みじゃな。