屋内消火栓の設置基準は、消防法によって設置規定、及び防火対象物が定められており、設置後の定期点検も義務化されておる。
また屋内消火栓の設置義務化に伴う、設置場所の規定、警戒区域の半径範囲、放水口の高さや設置間隔に至るまで設計段階から考慮しなければいけない規定も多い。
ここでは消防法に基づく屋内に設置する消火栓設備の設置基準、消火栓標識の設置場所の規定、ホースの耐用年数などの基本概要についてチェックしていくことにしよう。
屋内消火栓の設置基準は、まず階層によって定められている設置基準が異なる点を覚えておくことが大切じゃ。
屋内消火栓設備の設置基準では、4階以上の階層及び地階と無窓階に対して定められている設置基準と、地階・無窓階を含まない3階以下の一般フロアに対して定められている設置基準がそれぞれ異なっておるのじゃよ。
【設置基準は2つの条件に分けて規定されている】
①:4階以上の階層・地階・無窓階
②:地階・無窓階を含まない3階以下の階層
【4階以上の階層・地階・無窓階の屋内消火栓の設置基準】 | ||||
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別表 第1 |
消火設備の種類 | 一般 構造 |
準耐火 構造 |
耐火 構造 |
(1) | 劇場・集会場・公会堂等 | 100㎡ | 200㎡ | 300㎡ |
(2) | キャバレー・遊技場・営業店等 | 150㎡ | 300㎡ | 450㎡ |
(3) | 料理店・飲食店等 | |||
(4) | 百貨店・販売店舗等 | |||
(5) | 旅館・ホテル・共同住宅等 | |||
(6) | 病院・幼稚園・福祉施設等 | |||
(7) | 小中学校・高校・大学等 | |||
(8) | 図書館・博物館等 | |||
(9) | 蒸気浴場・一般浴場等 | |||
(10) | 車両停車場 | |||
(11) | 神社・寺院 | 200㎡ | 400㎡ | 600㎡ |
(12) | 工場・スタジオ等 | 150㎡ | 300㎡ | 450㎡ |
(13) | 車庫・特殊格納庫等 | - | - | - |
(14) | 倉庫 | 150㎡ | 300㎡ | 450㎡ |
(15) | (1)~(14)以外 | 200㎡ | 400㎡ | 600㎡ |
(16) | 複合用途防火対象物 | 各用途の基準に従って設置 | ||
(16-2) | 地下街 | - | - | - |
(16-3) | 準地下街 | - | - | - |
(17) | 文化財等 | - | - | - |
(18) | アーケード等 | - | - | - |
4階以上の階層及び地階・無窓階の屋内消火栓の設置基準では、階層ごとの床面積によって設置義務が生じる事になる。
構造によって設置が必要となる床面積が異なるのは後述する緩和措置がある為じゃ。
では続いて地階・無窓階を含まない3階以下の階層に対する設置基準についても一覧表で確認しておくとしよう。
【3階以下(地階・無窓階以外)の屋内消火栓の設置基準】 | ||||
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別表 第1 |
消火設備の種類 | 一般 構造 |
準耐火 構造 |
耐火 構造 |
(1) | 劇場・集会場・公会堂等 | 500㎡ | 1000㎡ | 1500㎡ |
(2) | キャバレー・遊技場・営業店等 | 700㎡ | 1400㎡ | 2100㎡ |
(3) | 料理店・飲食店等 | |||
(4) | 百貨店・販売店舗等 | |||
(5) | 旅館・ホテル・共同住宅等 | |||
(6) | 病院・幼稚園・福祉施設等 | |||
(7) | 小中学校・高校・大学等 | |||
(8) | 図書館・博物館等 | |||
(9) | 蒸気浴場・一般浴場等 | |||
(10) | 車両停車場 | |||
(11) | 神社・寺院 | 1000㎡ | 2000㎡ | 3000㎡ |
(12) | 工場・スタジオ等 | 700㎡ | 1400㎡ | 2100㎡ |
(13) | 車庫・特殊格納庫等 | - | - | - |
(14) | 倉庫 | 700㎡ | 1400㎡ | 2100㎡ |
(15) | (1)~(14)以外 | 1000㎡ | 2000㎡ | 3000㎡ |
(16) | 複合用途防火対象物 | 各用途の基準に従って設置 | ||
(16-2) | 地下街 | 150㎡ | 300㎡ | 450㎡ |
(16-3) | 準地下街 | - | - | - |
(17) | 文化財等 | - | - | - |
(18) | アーケード等 | - | - | - |
地階・無窓階を含まない3階以下の階層に対する屋内消火栓の設置基準では、設置が必要となる床面積が対象となる階層全ての「延べ床面積」で規定されておる点がポイントじゃ。
例えば建築構造が内装制限されている準耐火構造のカラオケボックスなどの遊技場を運営するビルの建築を設計する場合。
1階~3階の各フロアーの床面積が500平米であった場合は1階~3階までのフロアーの延べ床面積が1500㎡。
この場合は上記表の(2)遊技場の準耐火構造の面積は1400㎡となっておる為、屋内消火栓設備の設置義務が生じる事になることがわかるのぉ。
屋内消火栓の設置基準には階層による分類の他にも、防火対象物の建築構造によって設置基準の緩和措置が講じられておる。
この緩和措置の適用を受けられる条件は、まず内装に不燃材や難燃材などを使用した内装制限がなされていること。
そして防火対象物となる建築物の構造が「耐火構造」もしくは「準耐火構造」であることが条件となっておる。
この緩和措置は設置基準の対象となる床面積の計算を行う際に以下の条件で算出することが可能となっておる。
ここでおさらいとして先ほどの事例で確認したカラオケボックスのビルの建築をもう一度チェックしておくとしよう。
条件は先ほどと同じ1階~3階の各フロアーの床面積は500平米。しかし建築構造は内装制限がなされた耐火構造であったとする。
この場合は、設置対象となる延べ床面積が1400㎡ではなく2100㎡となる為、1階~3階までのフロアーの延べ床面積が1500㎡のこの物件では屋内消火栓設備の設置義務が必要なくなるという訳じゃな。
消火栓は大きく分類すると屋内消火栓と屋外消火栓の二種類の消火栓が存在する。
どちらの消火栓も大型商業施設や大型家電製品店などの普及により一度はどこかで目にしたことがあるはずじゃ。
この2種類の消火栓設備は「消火活動」という目的が同様であることには変わりはないが、この2種類の消火栓は「用途」や「場所」、によって設置基準や設置規程が異なり「放水圧力」や「放水量」などの消火能力も異なっておる。
ここではまず屋内消火栓と屋外消火栓の違いについて解説していくことにしよう。
消火栓とは、火災などが発生した際に消火活動を円滑に行う為に必要な水の供給が可能となるように事前に消防法の規定によって設置される消防設備のことじゃ。
消火栓には、屋外の地中や道路の脇に設置される屋外消火栓と、消防法の規定によって防火対象物に指定される建築物内に設置される屋内消火栓の2種類の消火栓がある。
この2種類の屋内用と屋外用の消火栓の設置基準が大きく異なる点の最大のポイントは、その使用者と考えても良い。
屋外消火栓は建築物の外部に設置される消火栓設備で大型の建築物や商業施設等に設置される消火設備じゃ。
この屋外消火栓は火災発生時に在住者が外部からの初期消火活動に使用するケースもあるが、実際に屋外消火栓設備を使用する大半のケースは消防隊員が消防活動を行う際に利用するケースが大半じゃ。
その為、消防隊員の消防活動に支障をきたさないように様々な配慮がなされた設置基準が定められている。
対して屋内消火栓の場合は、実際の火災時に消防隊員が到着するまでの時間に消防隊員以外の一般人が消火栓設備を使用するケースも十分考えられる。
その為、より簡易的に消火活動が行える設備構成や、わかりやすい消火栓の位置の表示など、屋外消火栓とはまた別の配慮がなされている点が大きな違いと言えるのぉ。
屋内消火栓と屋外消火栓の主な違いは、消火設備の使用者が異なる点がポイントにあることは前述してきたとおりじゃ。
尚、消火栓に求められる消火能力・放水量の基準に関しても屋内消火栓と屋外消火栓では最低基準ラインが大きく異なっておる。
主に消防隊員が使用する屋外消火栓設備の放水能力は毎分350リットル以上の放水量、そして0.25MPa以上の放水圧力を保持することが条件となっておる。
対して屋内消火栓設備は消火能力の高い1号消火栓であっても毎分130リットル以上の放水量、そして0.17MPa~0.7MPaの放水圧力となっておることからも屋外消火栓設備が高い消火能力を持つ消火設備であることがわかるのぉ。
屋外消火栓設備の使用に関しては放水量、放水圧力が高く扱いが難しい事からも、使用の際には一定の訓練を受ける必要がある。
その為、現実的に実際に屋外消火栓設備を使用しているのは消防隊員が大半となっているという訳じゃな。
屋内消火栓設備には、消火栓の持つ「放水性能」・「警戒区域半径」及び「操作性」から、2つの規格の屋内消火栓が存在する。
この2つの規格に基づく屋内消火栓設備は「1号型消火栓」・「2号型消火栓」と分類され、それぞれ消防法の設置基準や性能・特徴が異なる点を覚えておく必要がある。
屋内消火栓1号型は、放水性能が高く、短時間に大量の放水が可能な消火栓設備で、水圧も高く、広範囲の消火活動が可能となっておる点がひとつの特徴じゃ。
しかし、現実的に一人で消火活動を行うにはホースも想像以上に重く、操作もやや複雑と感じるかもしれんのぉ。
対して2号型消火栓は1号型と比べると放水性能・消火能力はやや劣るものの、操作も簡易的で一人でも消火活動を実践し易い構造になっておる点がポイントじゃ。
屋内消火栓と屋外消火栓の違いの項でも解説したとおり屋内消火栓は消防隊員以外の一般人も消火栓設備を使用する可能性が高い。
そのため実際の火災発生時の実用性を考慮して、規格化された消火栓が2号消火栓ということになるのぉ。
尚、1号消火栓は原則2名以上で操作する消火栓設備じゃが、一人でも操作を容易に行うことが可能な2号消火栓の利便性に近く、かつ1号消火栓の消火能力を保持する「易操作性1号消火栓」と呼ばれる1号消火栓もあるのじゃよ。
消火活動の能力は高い能力を発揮するものの操作性の難易度がやや高い1号消火栓。
この問題を解決するために実際の火災現場で一般人や力の弱い女性でも簡単に操作を行うことができるよう実用性を重視して規格化された消火栓設備が2号消火栓設備じゃ。
しかし現在は前述したように1号消火栓の性能を持ちながら、かつ一人でも消火活動が可能である「易操作性1号(E-1号)消火栓」と呼ばれる消火栓設備も登場し少しずつではあるが多くの人が集う百貨店や商業施設などで普及が始まっておる。
実際に火災が発生した際に消防隊員が到着するまでの時間に一般人がより簡易的に消火活動が行えるような消火栓設備の開発は今後も開発されてくることじゃろう。
1号消火栓及び2号消火栓の性能及び構造規定・寸法・サイズを以下にまとめておくのでチェックしておくことじゃ。
尚、放水圧力を示すMPaは圧力・応力を示す国際単位でメガパスカルと読むのじゃよ。
【1号消火栓・2号消火栓の性能及び構造】 | ||
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性能・規定 | 1号消火栓 | 2号消火栓 |
放水量・性能 | 筒先(ノズル)で毎分130リットル/分以上 | 筒先(ノズル)で毎分60リットル/分以上 |
放水圧力(MPa) | 0.17MPa~0.7MPa | 0.25MPa~0.7MPa |
警戒区域半径の規定 | 半径25メートル単位 | 半径15メートル単位 |
口径 | 40ミリ | 25ミリ |
ノズルの口径 | 13ミリ | 13ミリ |
消火栓箱の寸法・サイズ | 縦1300ミリ以上・横750ミリ・奥行180ミリ | 縦825ミリ以上・横800ミリ・奥行200ミリ |
屋内消火栓の放水圧力は1号消火栓・2号消火栓ともに上限が0.7MPa以内になるように定められておる。
その為、消火栓箱内に設置されている開閉弁には呼び圧力が16Kを超える減圧弁が設けられておるのじゃ。
屋内消火栓の設置場所及び配置に関する規定は消防法によって「警戒区域半径」を基準の単位として配置規定が定められておる点がポイントじゃ。
尚、1号消火栓の警戒区域半径は「25M」と定められておるのお。
その為、そのフロアー内全てを水平距離で25M以下になる位置に1号消火栓設備を設置をしなければいけない事になっておる。
1号消火栓の警戒区域半径は「水平距離」で25Mと定められておる。
尚、この水平距離とは、ホースの接続口からフロアー内の壁までの距離を指しておるのじゃ。
ここでのポイントは、1号消火栓の設置場所の規定に関しては「歩行距離」ではなく「水平距離」で設計を行えば良いという点じゃな。
消防法では実測の歩行距離で設置間隔を定めるケースと図面上の水平距離で設置間隔を定めるケースがある点は必ず把握しておくべきポイントのひとつじゃ。
※1号消火栓の設置場所の規定は水平距離で有効範囲を計算する
1号消火栓ボックスには約30メートルのホースが収納されており奥行きは約18センチ~20センチ程度のサイズがある。
更に屋内消火栓ボックスは開閉式の扉を開けてホースを取り出すため、消火栓ボックスの前面には消火活動に支障をきたさない範囲の空間が確保されている事が求められるのぉ。
その為、屋内消火栓は多くのケースで共用スペースである廊下部分に設置される事になる。
尚、一度消火栓点検試験に合格したとしても次回の法定点検の際に、消火栓ボックス近辺に大量の荷物などが積み込まれ扉の開閉に支障をきたすと判断されるようなケースや、廊下に荷物が多く屋内消火栓設備に到着するまでに支障をきたすと判断されるようなケースでは法定点検に合格することができなくなる点も覚えておくと良いじゃろう。
屋内消火栓の設置場所及び配置に関する規定に関しては水平距離で25M以下の警戒区域半径に基づいて設置規定が設けられておる事は前項で解説した通りじゃ。
しかし、実際のフロアー内には、壁などが多く存在し歩行距離で換算した場合は、その25Mをあまりにも大きく超える事も現実的には多くあるものじゃ。
1号消火栓設備の消火栓ボックスに納入されておるホースの長さは約30Mの製品が主流。
歩行距離が多少伸びても多くのケースで対応は可能じゃが、一定距離を超えてくる場合に関しては、別途の消火栓設置基準が設けられておるケースもある点を確認しておこう。
1号消火栓の設置基準に関する追加規定に関しては各市町村の条例によって基準が異なることが前提である点をまず確認しておこう。
その為、この追加項目は消防法に基づく設置基準ではなく、市町村条例に基づくもので設計者の豆知識として把握しておくべき項目じゃ。
1号消火栓の配置を設計する際に、水平距離の規定が設計上の適用距離であったとしても歩行距離が一定距離以上となった場合は別途の追加項目規定を設けておるケースが多い。
例えば、1号消火栓の場合は以下のような別途の設置基準が設けられているケースがあるのじゃ。
①:歩行距離が30Mを超える場合
②:①のケースでは屋内消火栓に納入するホースは40M以上のホースの長さが必要
これらの別途追加規定は各市町村や管轄する消防署エリアによっても異なってくるケースがある為、設計段階で考慮する場合は事前の確認が重要となる。
不安がある場合は対象となる建築物の登記簿謄本上の管轄エリア内の消防署に確認を取っておくことが重要じゃ。
1号消火栓の設置の際に、消防法では消火栓箱内部の開閉弁の配置に関しても設置場所の高さに関する規定を設けておる。
この開閉弁とは、ボックス内のハンドル状の弁構造で水道の蛇口のようにハンドルを回すことで放水が開始される弁の事じゃ。
屋内消火栓ボックス内の開閉弁の配置に関しては消防法によって床面から1500mm以下に設置する事が義務付けられておる。
1号消火栓の開閉弁の高さ規定を設けておるのは開閉弁の位置が建築の都合であまりにも高い位置に配置されると、
★女性が届かない
★開閉弁がまわしづらく放水が開始できない
などの火災時の利便性を考慮したもので非常事態に迅速に消防活動が開始できるよう考慮されておるためなのじゃな。
屋内消火栓設備は、万が一火災が発生してしまった場合に居住者や一般人が消火活動を行うことができる様に設置される固定式の消火設備じゃ。
自動火災報知設備などのシステムを設置していたとしても火災の勢いが強い場合や、何らかのトラブルでシステムが稼動せず避難通路が絶たれてしまうような予期できない事態が発生するケースも想定し、消防隊員が現場に到着するまでにできる限りの消火活動を行うことができるように設置されるのが屋内消火栓設備でもあるのじゃな。
使用者はもちろん力の強い男性とは限らない。その為、高齢者や女性でも容易に利用できるよう放水圧力が0.7MPa以上の圧力とならないような基準が設けられておるわけじゃ。
尚、放水圧力が0.7MPaを超えない措置として開閉弁にはあらかじめ減圧機能付きの開閉弁の設置や、別途減圧弁が設置されておりホースの圧力を調整しておるのじゃよ。
屋内消火栓の設置場所及び配置に関する規定は消防法によって、警戒区域半径によって配置規定が決められておるのは1号消火栓の警戒区域判定の項でチェックしてきた通りじゃ。
尚、2号消火栓の警戒区域半径は放水性能・警戒区域半径・ノズル口径の比較一覧表の項で解説しておる通り有効範囲が半径15M以内と定められておる。
2号消火栓の設置に関しては、設置対象となる防火対象物のフロアー内全てを水平距離で15M以下になる位置に設置をしなければいけない事になっておる。
1号消火栓は25Mであった点を考慮すると有効範囲となる半径が10M、直径では20Mも短くなる事になるのぉ。これは設計段階ではかなり大きな違いに感じるじゃろう。
尚、消防法では2号消火栓の設置に関して以下の能力を保持する事を規定に定めておるのでチェックしておくことじゃ。
【2号消火栓の設置規定~消防法~】
★水源の水量は、屋内消火栓の設置個数(2を超える時には2とする)に、1.2立方メートルを乗じた量以上の量とすること
★設置階においてすべての消火栓(2を超える時には2とする)を同時に使用した時に、ノズルの先端放水圧力2.5MPa以上かつ、放水量60L/min以上の性能とすること
★加圧送水装置及び非常電源については従来通りであること
2号消火栓は1号消火栓と比較すると、放水性能はやや劣る部分がある。
しかし一般人でも扱いやすいように設備の使用方法の簡易化、軽量化がなされている点がポイントじゃ。
ここではもしも火災が発生してしまった際の豆知識として2号消火栓の使用方法・使い方についてチェックしておこう。
火災発生時の2号消火栓の使用方法について、ここではひとつずつ手順を確認しておく。
初心者でも順番どおり行えば放水ができる為、もしもの時の為に覚えておいても損はないじゃろう。
尚、屋内消火栓の格納箱の周りや、扉を開けた裏面に「使用法標識板」が貼ってあるケースも多いため、消火活動の際には慌てずに手順どおり放水を行うよう心がけることじゃ。
もし実際に消火活動を実践中に火の勢いが弱まらない、もしくは煙が多く息苦しいなどの場合は消火活動よりも避難を最優先することが何よりも大切じゃ。
【2号消火栓の使い方・手順表】 | |
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手順 | 使用方法・使い方の解説 |
① | 2号消火栓格納箱の扉を開ける |
② | ホースのノズルを取り外す(現在の2号消火栓はノズルを外すとポンプの起動が自動的に始まる) |
③ | 消火栓格納箱内の開閉弁を開く |
④ | ホースをやや多めに格納箱から出しておく |
⑤ | ホースの筒先を火元に向け姿勢を保持する |
⑥ | ノズルの開栓弁を開放し放水開始 |
2号消火栓の基本的な使い方、使用方法は上記の手順表に記載したとおりの手順で操作を行うだけでOKじゃ。
2号消火栓は女性や高齢者などの一般人でも使用しやすいように簡易的に使用できる工夫が施されておる。
ノズルを消火栓ボックスから取り外すだけで加圧送水装置が起動する為、実際に使用者が行う手順は、開閉弁の開放を行う程度ですぐに消火活動が開始できるようになっておる。
尚、実際に消火活動を行う際に覚えておきたいポイントとしては、まずは開閉弁の放水圧力がしっかり働くように開閉弁を全開まで開いておくこと。
またホースのねじれや引っ掛かりがあるとホースが暴れたり、ノズルへ大きな反動が加わる為、放水を開始する前にホースのねじれ等の確認をしっかり行い落ち着いて消火活動を行うことがポイントとなるのぉ。
屋内消火栓の設置基準には一部設置免除を受けることが可能な特例が設けられておる。
この特例の基本は、屋内消火栓以外の消火設備を別途設置する必要がある場合に、その有効範囲に対して設置免除規定が適用される点がポイントじゃ。
動力消防ポンプ設備やスプリンクラー設備、大規模建築物に多い屋外消火栓設備を設置しているケースでは、消火設備の有効範囲が重なってくる部分も出てくるものじゃ。
その為、管轄エリアの消防署が認める消火設備を既に設置しているケース、また新たに新設する場合は、重複する有効範囲部分について屋内消火栓設備の設置が免除される特例規定が設けられておる。
【有効範囲内は設置が不要な消火設備一覧表】 | |
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No | 消火設備の種類 |
① | 動力消防ポンプ設備 |
② | 屋外消火栓設備 |
③ | スプリンクラー設備 |
④ | 水噴霧消火設備 |
⑤ | 粉末消火設備 |
⑥ | ハロゲン化物消火設備 |
⑦ | 不活性ガス消火設備 |
⑧ | 泡消火設備 |
但し、①の動力消防ポンプ設備と②の屋外消火栓設備に関しては、代替によって設置免除の適用が受けられる範囲は地上1階~2階の範囲に限られておる点を把握しておこう。
屋内消火栓の代替設備である「パッケージ型消火設備」の設置を行なっている場合は、パッケージ型消火設備の有効範囲に限り屋内消火栓の代替として利用する事が可能じゃ。
パッケージ型消火設備の設置基準では、地階、無窓階、そして煙の充満しやすい区画、フロアに関してはパッケージ型消火設備を設置することが出きない規定となっておる。
その為、パッケージ型消火設備で屋内消火栓設備の代替利用を行う場合は、事前に消防署へ適用が可能か確認しておくと良いじゃろう。
屋内消火栓設備の設置免除規定の特例は上記条件を満たしている場合であっても全てのケースで確実に適用を受けられるという訳ではない。
もし代替の消火設備で屋内消火栓以外の設置を検討する場合は、消防署へ事前に状況確認を行なっておくことが大切じゃ。