建築物の設計の際に特定光庭の設置を検討している場合は建築基準法、及び消防法の設置基準規定に基づく光庭の設置を行う必要がある。
光庭は集合住宅やマンションの設計で人気も高くデザイン性にもバリエーションを持たせることができる利点がある。
ここでは建築基準法及び消防法に基づく特定光庭の設計基準、特定光庭の計算・開口部の規定、特定光庭面にガス設備を設置する際の規定など特定光庭の判定基準や設計の注意点についてチェックしておくとしよう。
特定光庭とは、火災時の延焼の危険性について一定の基準を超える危険性を持つと認定された光庭の事じゃ。
まず特定光庭について正しく認識するために、特定光庭と光庭の違いについて把握しておくことが必要となる。
尚、光庭とは、主に大型のマンション建築物などの共同住宅設備の建築の際に
●通風
●採光
を確保する、もしくは向上させる目的で設けらておる区画であることを覚えておくことじゃ。
光庭はマンションや共同住宅の主に中央部分に設置され周囲は建物の壁や廊下、非常階段などの壁に囲まれており天井部分が吹き抜けとなっておる点が光庭の特徴じゃ。
デザイナーズマンションなどのモデルルームなどでよく見かける
●周囲が壁に囲まれている
●上部が吹きぬけとなっている
ような区画を見かけたことがあるじゃろう。
この採光豊かな区画がまさしく「光庭」と呼ばれておる部分じゃ。
光庭は採光の確保や通風目的として設置されるエリアじゃが、近年のデザイナーズマンションなどでは、この光庭エリアをイメージアップの為に有効に活用し敷石やベンチなどを設置し独創的な空間を演出しておるケースも多いのぉ。
光庭は共同住宅施設などに多く見られるが火災の延焼に関する危険性の観点から見ると、光庭は火災時の炎や煙の通り道となる危険性を持っておる。
その為、光庭には一定の基準が設置されており、危険性があると判断される光庭は特定光庭として認定されることとなる。
尚、特定光庭と認定された場合は、通常の消防法規定に加えて、より厳しい
●追加の防火措置
を講じる必要性が求められるようになる訳じゃ。
集合住宅やマンションなどのデザイン性を高める空間のひとつとして人気が高い光庭の設置。
この光庭にはいったいどのような種類があるのだろうか?
ここでは建築規定、消防法で規定する光庭の分類について見ていくとしよう。
消防法における光庭の定義では、光庭に関して大きく
●特定光庭
●避難光庭
に分類して防火措置の規定が判定されておる。
特定光庭とは、
●設置された光庭を介して
他の住宅や、区画へ火災の炎や煙が広がる可能性が高いと確認される光庭のことを特定光庭と呼んでおる。
当然、特定光庭が火災を拡大する要因のひとつともなることから、特定光庭の防火規定は通常の防火規定よりも厳しい基準が求められておる。
避難光庭とは、火災発生時に
●避難経路
として光庭を利用できる区画のことじゃ。
具体的には
●廊下
●階段
などが光庭に面して設置されていることが条件であり次項で後述しておる複数の条件を満たした光庭を避難光庭と呼んでおる。
しかし、仮に避難光庭であっても、火災の延焼の危険性が確認される場合は、特定光庭の追加規定を受けることになっておる。
特定光庭の設置に関しては消防法の規定が関与してくることが見えてきた。
では特定光庭として判定される際の判定基準について見ていくとしよう。
消防法で規定する特定光庭の判定基準は以下の通りとなっておる。
【A:光庭に面する住戸の開口部が受ける熱量が10kw/㎡を超える場合】
光庭に面する住戸に火災が発生した場合、「同一の光庭」に面する住戸の開口部が受ける熱量が
●規定範囲の熱量(10kw/㎡)
を超えると確認される場合は特定光庭と判定されます。
【B:避難光庭に面する廊下及び階段室が受ける熱量が3kw/㎡を超える場合】
避難光庭に面する住戸に火災が発生した場合、「同一の光庭」に面する避難光庭に面する廊下及び階段室を使用して
●避難を実際に行う住民
が受ける熱量が
●規定範囲の熱量(3kw/㎡)
を超えると確認される場合は特定光庭と判定されます。
【C:避難光庭の場合、避難光庭の「高さ÷幅」が2.5を超える場合】
避難光庭と認められた光庭の高さを、その避難光庭の幅で割った数値が
●規定値(2.5)
を超えると確認される場合は特定光庭と判定されます。
ガス給湯湯沸設備の設置基準についてチェックしておくとしよう。
特定光庭と認定された光庭に面してガス給湯湯沸設備を設置する場合は、通常の規定に加えて以下の要件が加えられることになる。
特定光庭と認定された光庭に設置するガス給湯湯沸設備は以下の要件を満たしている必要があるので確認しておくことじゃ。
【ガス給湯湯沸設備の条件】
●ガスの消費量が70kw以下
●1つの住居用のガス給湯湯沸設備であること
●バーナーのガス圧力が一定を保つものであること(圧力調整機能)
●加熱防止装置がついていること
●立ち消え安全装置がついていること
●バーナー部が隠蔽されており密閉構造のガス給湯湯沸設備であること
以上が特定光庭に面してガス給湯湯沸設備を設置する場合のガス給湯湯沸設備の条件となっておる。
尚、ガス給湯湯沸設備を設置する際は、共用部分を貫通するダクト等の
●貫通処理
に関して
●不燃材
を使用し、配管は金属製のものを使用する必要があるのじゃ。
特定光庭と認定された光庭に面し、廊下、階段室などに面している場合の開口部の防火措置について見ておこう。
このようなケースでは、
●1住戸
あたりの1つの開口部の面積が
●2㎡以下
の開口部とする防火措置が求められておる。
開口部の最大面積に関しては、1住戸に設けることができる開口部の最大面積が
●4㎡まで
と定められておる。
但し、この規定は
●共同住宅用スプリンクラー設備
を設置している場合は適用になることはないため規制をうけることがなくなるのじゃ。
また、特定光庭の下端部分に設置される開口部に関しては、常時外気に開放されていることを条件として給気口の有効断面積が、特定光庭の水平投影面積の
●50分の1以上
である必要があるのじゃよ。