キュービクル高圧受電設備は、主にビルの屋上などに設置されておる金属製の四角い箱状の形状をしておる大型の金属箱の中に受電設備一式が組み込まれておる電気設備のことじゃ。
ここではキュービクル設備の設置に関する点検規定や設置基準について初心者にもわかりやすいように解説を加えておる。
またキュービクル設備の法定耐用年数の一覧表と実用年数の目安に関しても一覧表でまとめておるので一度チェックしておくと良いじゃろう。
キュービクルとは、受電用の電気機器、制御盤、及び電気配線をコンパクトにまとめ、設置したCubic(立方体)型の金属箱内に収納した高圧受電設備のことを指しておる。
同義の意味を示すものに「メタルクラッド」や「閉鎖型配電盤」があるがこれらはキュービクルの別称じゃ。
主に発電設備・変電設備を有する場所にキュービクルは設置されており設置数も数が多い。
キュービクルをチェックしたい場合は身近な高圧送電線や変電設備のあるエリアを確認してみるとすぐに見つけることができるじゃろう。
キュービクルは金属状の箱に包まれる形状をしていることからキュービクル内部への進入が難しい構造となっておる。
その為、人及び小動物の「感電」や内部設備の「破損」などを起こしにくいという特徴があり、大容量の電流を扱う受電設備としての安全性の面でもキュービクルの設置効果は高いと言えるじゃろう。
また、キュービクルは主要電源設備をコンパクトにまとめる事が可能となるためキュービクル設備を設置する専有面積も少範囲ですむ。
そのため、都市部など坪単価が高い、いわゆる土地の価格が高いエリアなどでは経済的効果も期待できる点もひとつのポイントであると言えるじゃろう。
尚、キュービクルの認定は、「社団法人日本電気協会」が行っており、当機関の基準をクリアした受電設備を「認定キュービクル」と定めておる。
消防法では、万が一の火災の発生時などに備えて、「消火活動」・「非難行動」が円滑に行える事を目的として非常電源の設置を義務付けている。
尚、この消防法で定められている非常電源には基本的に3種類の非常電源がある。
この3種類の非常電源はそれぞれの特徴によって使用される用途が異なってくる点がポイントである。
非常電源には基本的に3種類の非常電源がある。
ひとつは、キュービクル設備などに見られる非常時に一般の電力供給が経たれてしまった際に、施設内の非常用電源を利用する非常電源専用受電設備じゃ。
そしてもうひとつは、非常時に電気を独力で発電する自家発電設備。
そして最後は、蓄電池によって、一定時間の電源を確保する蓄電池設備。
蓄電池設備は施設内の非難誘導灯や非常時に一定以上明るさを保持する機能をもつ非常灯などがある。
【非常電源の種類】
①非常電源専用受電設備
②自家発電設備
③蓄電池設備
キュービクルの設置基準は消防法に基づいて消防庁がキュービクル設備についてのキュービクル設置基準を設けておる。
消防法では、キュービクルの金属製外箱について「耐火性能を保持し、かつ、耐食性を有しない材質のものにあっては、耐食加工を施したものであること」という設置基準を設けておる。
これは、キュービクル設備自体が非常事態時に稼動をする事が目的にある為じゃ。
キュービクルの設置について安全性への配慮は最重要課題じゃ。
その為、キュービクルからの外部接続に関するの安全面に関しては以下に定める部分が外部に露出して設けられていないことと定められておる。
定期点検のチェック項目でもある為一度確認しておく必要があるじゃろう。
【キュービクル箱の外部接続の点検規定】
●表示灯(カバーを不燃性又は難燃性の材料としたものに限る。)
●電線の引込み口及び引出し口
●第七号の換気装置
●電圧計
●電流計
●周波数計
●計器用切替スイッチ
●その他操作等に必要な計器類
キュービクルの設置に関しては「外箱は建築物の床に容易かつ堅固に固定できるものであること」という基準が定められておる。
消防法の設置基準概要では、大容量の電気を扱うキュービクル設備に関して安全面・性能面に最大の配慮がなされている事が設置基準概要からも伺えるのぉ。
キュービクルは、昭和43年12月に「JIS C-4620」として日本工業規格がJIS法によって規格を制定している。
このJIS規格とは、キュービクル製品に扱う機器の材料や耐水性などの基準を定めたもので、平成10年に現在の規格に統一されている。
ここまでの解説を見てきても分かる通りキュービクルの設置基準、及び規定に関しては、基本的に「JIS基準(日本工業規格)」・「社団法人日本電気協会の認定基準」の2つの基準によって定められている事になる。
前項で解説したとおり、各々の認定基準は分別されている点がキュービクルの設置基準のひとつのポイントである。
消防法では、デパートやホテル、大型百貨店等の不特定多数の人が出入りする建築物を防火対象建築物として定めている。
この防火対象建築物に該当する施設では、火災が発生した際の人命救助や初期消火等を目的とした消防用設備等に供給する非常電源を確保することが義務付けられている。
この非常電源の確保に関する義務規定の告示として消防庁は、「昭和50年5月に消防庁告示第5号」を公布し、非常電源の一種である「非常電源専用受電設備」に関して「キュービクル式非常電源専用受電設備の基準」を定め、翌年昭和51年より、本公布の施行が開始された経緯がある。
認定キュービクルとは、社団法人日本電気協会が形式認定を行い、日本電気協会の認定を受けたキュービクル設備の事。
社団法人日本電気協会は、「旧自治省(現在の総務省)」の要請を受け、「キュービクル式非常電源専用受電設備認定規程」を制定し、1976年より全国的に統一した認定業務を開始している。
その後消防庁は平成13年12月に社団法人日本電気協会をキュービクル設備の指定認定機関と定め平成16年9月に同協会を消防庁の「登録認定機関」と定めている。
このような背景があるため登録認定機関である社団法人日本電気協会が認定したキュービクル設備の事を「認定キュービクル」と呼ぶようになっている。
キュービクルは、様々な受電用の電気機器及び配線などをひとつの四角形の金属箱にコンパクトにまとめた高圧受電設備。
その為、キュービクルの耐用年数は
●内部の機器類
によってそれぞれ異なってくるので一概に何年と言えないのが現状である。
但し、キュービクル内に設置されている基本的な電気機器類には、一般的に定められている
●法定耐用年数
と呼ばれる基準の目安となる数値が設定されている事はご存知かと思う。
キュービクルの耐用年数は法定耐用年数によって定められている。
これらの法定耐用年数は、現実的な実年数と比較すると「やや短め」に設定されているように感じてしまうものが多い。
これはキュービクルに限る話ではなく広い範囲で減価償却を伴う償却資産に関する話である。
その為、キュービクルの法定耐用年数は、実際の耐用年数の目安として検討材料にする事は可能であるが、設備自体がその期間内しか使用できないという訳ではもちろんない。
キュービクルの耐用年数は、内部の機器類それぞれに詳細に耐用年数が設定されている。
キュービクルの内部の機器類の項目には、「変圧器」・「ヒューズ」・「コンデンサ」・「高圧遮断器」・「断路器」など様々な項目がありそれぞれ法定耐用年数が異なってくる。
次項ではこれらの法定耐用年数の基準に加え、キュービクルの実用耐用年数についても記載しておいたのでチェックしておこう。
キュービクル内に設置される基本的な電機機器類、JIS規格で定められておる電気機器類には「法定耐用年数」と呼ばれる機器類の交換時期の目安となる指標が示されている。
前項で解説したとおり、これらの法定耐用年数は、実際の実用年数よりもやや短めに設定されている点がポイント。
以下にキュービクル内に設置される基本的な電気機器類の法定耐用年数、及び、「実用耐用年数の目安」をまとめておくので確認しておこう。
【キュービクル内電気機器類の法廷耐用年数、実用耐用年数の目安】
●変圧器 ⇒ 法定耐用年数15年 実用耐用年数の目安20~25年
●ヒューズ(屋内) ⇒ 法定耐用年数15年 実用耐用年数の目安15年
●ヒューズ(屋外) ⇒ 法定耐用年数10年 実用耐用年数の目安10年
●コンデンサ ⇒ 法定耐用年数15年 実用耐用年数の目安15年~20年
●高圧遮断器 ⇒ 法定耐用年数15年 実用耐用年数の目安20年
●断路器 ⇒ 法定耐用年数15年 実用耐用年数の目安20年
●高圧負荷開閉器 ⇒ 法定耐用年数15年 実用耐用年数の目安20年
●高圧カットアウト ⇒ 法定耐用年数15年 実用耐用年数の目安20年
●避雷器 ⇒ 法定耐用年数15年 実用耐用年数の目安15~20年
●計器用変成器 ⇒ 法定耐用年数15年 実用耐用年数の目安20年
●保護継電器 ⇒ 法定耐用年数15年 実用耐用年数の目安20年
キュービクルに関する消防法における法規ではキュービクル式非常電源専用受電設備に付属する「換気装置」の設置に関しても、消防法では設置基準が設けられている。
尚、消防法による喚起装置の設置基準に関しては以下の通りとなっている。
【換気装置の設置基準】
①換気装置は外箱の内部が著しく高温にならないよう空気の流通が十分に行えるものであること
②自然換気口の開口部の面積の合計は、外箱の一の面について、当該面の面積の3分の1以下であること
③自然換気口によっては十分な換気が行えないものにあっては、機械換気設備が設けられていること
④屋外用のキュービクル式非常電源専用受電設備に関しては、換気口に「金網」「金属製がらり」「防火ダンパー」を設ける等の防火措置及び雨水等の侵入防止措置が講じられていること
以上が消防法によるキュービクル式非常電源専用受電設備に付属する喚起装置の設置基準である。
陸屋根式のビルの屋上にキュービクルを設置するケースでは、屋上にある建築物や外壁と離隔を取る必要がある。
尚、この離隔距離に関しては屋内キュービクル、屋外キュービクル共に消防法に基づく規定が定められている。
キュービクル設置に関する離隔距離(保有距離)の原則は建築物の外壁から3M以上の離隔距離を有することが原則。
但し、これは認定キュービクル以外のキュービクル設備の条件である。
また、離隔距離の規定としては点検を行う面に関しては60センチ以上の離隔距離をとること。
操作面に関しては最低1M以上の離隔距離を有することと規定によって定められている。
換気口のある面に関しては20センチ以上の保有距離が必要だが、溶接構造で換気口をもたない面に関しては規定はない。
尚、離隔距離に関して不安がある場合は地域によって規定が異なる部分も幾つかある為、ご自身がお住まいの管轄エリアにあたる消防署に確認してみることが重要である。